その後、フリースクールりんごの木の25周年記念パーティーが行われました。
もう25年。私とらるごの関係は、我が家の子どもたちがお世話になった「遊学舎」という塾の一室が、不登校の子たちのたまり場になったときからのことですから、早30年近い年月が流れたことになります。
そのころ仕事をしていた教育関係の雑誌で「不登校」の問題を取り上げることがあったことも、関心をもつようになった一因です。
余談ですが、そのころご指導いただいた保坂展人さんは今や世田谷区長になり、そして当時はまだ現職の教師をされていた尾木直樹先生は今や「尾木ママ」として大活躍されています。
この時の流れの中で、本人や家庭の問題と批判の対象となりがちであった「不登校」(登校拒否という呼び方もされていました)も、大分世間の見る目が変わってきました。現在の国会に、「子どもたちの多様な学び方」についての法案が提案される予定で、これでフリースクールや家庭で学ぶことが認められ、財源も当てられる公算が大きくなってきたことは、朗報です。
多様な学び方を心底認められるのか、子どもたちの「自分はこんなところで、こんな学びをしたい」という選択をきちんと受け止めることができるのか、そこにかかってくるように思います。
パーティーの第1部は、スクール生の先輩たちのパネルディスカッションでした。
話してくれたのは、現在30歳になった消防士の若者、19歳で絵を描き続けている若者と同じく19歳のデザインの勉強をしている若者の3人でした。写真もOKとのことで、その素敵な表情も見ていただきたかったのですが、拡散が怖いので登壇前のスナップです。
若者たちが言っていたこと。
「りんごの木で過ごしたときは、24時間365日、自由があった。多分、一生の中でこんな時代はなかなか送れないだろう」
「大学に行こうと思ったとき、果たして大学の勉強についていけるのか、という不安はあったけれど、入ってみたら、ふつうに小・中・高校で学んできた友だちと何の変わりもなくやっている」
「こうしなければいけない、という思い込みよりも、なんとかなるさ≠ニ思ってチャレンジする方が楽しい」
etc.
別の話になりますが、「自分のことは自分で決める」ことを大事にしている自由な校風の学校で、「自分のことを自分で決める」むずかしさに挫折しそうになる生徒の姿をみたものです。自由ってそれだけ大変なことなのに、それを大変と思わずに自分の生き方を切り拓いていこうとしているまぶしいほどの若者たち。それを可能にしたのは、迷いながらも我が子を受け止めてきた家族や、その子のありのままを受け止めてきたスクールの友だちやスタッフの皆さんの存在があったのだと思います。
大ヒットとなった「レディーゴー」、ありのままで。フリースクール生だけでなく、障害のある子たち、認知機能の衰えたご高齢の方などなど、ありのままのその人の存在を受け容れることは大変な面もあるかも知れませんが、それこそが人間関係の第一歩であると思える人たちとつくる地域は素敵だと改めて思った1日でした。