今年のテーマは「高齢者、障害者、困窮者…孤立・分断こえー共に生きる地域と障害者の職場参加」というものでした。
まず、千葉中核生活支援センター長生ひなたの所長である渋沢茂さんからの特別報告がありました。
千葉県独自の事業である、中核地域生活支援センターというのは、何と、平成16年に策定された「千葉県地域福祉支援計画」に基づいて、こども、障害者、高齢者を含めたすべての地域住民を対象とした地域生活支援の民間拠点として設けられたもので、24時間、365日体制で、地域生活支援事業、相談事業、権利擁護事業といった事業を行うとともに、地域総合コーディネートの機能を担っているとのことです。
もう10年近く前にこのような具体的な支援事業を盛り込んだ支援計画を策定したのも驚きなら、この計画策定にあたっては、計画の内容が白紙の段階から、民間の団体の意見を聞くことからスタートし、ある程度の素案がまとまってからは、きめ細かいタウンミーティングなどでさらに意見を聞き、取り入れていくという手法で制度化されたとのこと。
そのスローガンが『誰もが、ありのままにその人らしく、地域で暮らすことができる』というもので、そういった地域社会の実現を理念としているとのことです。
このセンターは、政令指定都市と中核市を除く県内の保健所の管轄地域ごとに1カ所設置されているとのことです。ただし柏市は中核市ですが、中核市に移行する際、市の単独事業として事業を継承しているとのこと。
地域の総合コーディネートに当たるに際して、行政などの公的機関や福祉サービス提供事業者、当事者グループ、その他の福祉資源などと住民のニーズを有効につなげていくことのみならず、必要とされるサービスの提供ができるように、新たなサービスや福祉資源の開発などの活動を行う必要があるようです。その中で、隠れた地域の福祉力、住民の福祉力の掘り起こしに努めることもポイントになっているようです。
・どんな要望も断らないでまずは動く。
・地域の関係者との関係性を重視する。
・迷ったときは必ず弱い人の立場に立つ。
・当事者にとっての利益を考える。
などの活動の際心がけているポイントを伺っていると、これこそがまさに地域福祉、と肯くばかりでした。
そのほか、パネルディスカッションのパネラーの皆さんの活動も、基本はやっぱり地域の人たちとの関係性であり、住んでいる人々の力で皆で支え合う地域をいかにつくっていくかが課題であるということを示唆する内容でした。
「職場参加をすすめる」ということを目的にしているNPO法人ではありますけれど、公的な就労支援のように一般就労に結びつけることだけではなく、こうした地域の中で共に働き生きていく、ということによって、制度によって分断されない新しい地域包括支援体制について、先進的な千葉の取組などをお手本にしながら求めていきたいものです。