2008年11月23日

医師不足が早急に改善しない中で、産科の緊急事態をどう改善する?

 病院運営委員会の翌日、20日に、埼玉東部地方政治改革ネットでは、埼玉県の保健医療部医療整備課の主幹においでいただき、「埼玉県の周産期医療について」の学習会をもちました。

 埼玉県に限らず、全国的な傾向ですが、年々出生数は減少しているのに、一方で昔は未熟児といわれていた低出生体重児が生まれる数は増えています。出生数100に対して、平成10年の7.9%から平成18年は9.6%に上昇しています。つまり、10人に一人近くが、2500グラム未満で生まれていることになります。
 平成18年の低出生体重児の出生数5390人のうち、1000〜1500グラムの赤ちゃんが9.2%、1000グラム未満の赤ちゃんが3%、ことに1000グラム未満の赤ちゃんは平成10年は142人だったのに、平成18年は195人と1.4倍になっています。

 このような低出生体重児や先天的な障害をもつ赤ちゃんの治療に当たるのが「周産期センター」ですが、今、この周産期センターが患者さんを受け入れられにくい状態になっていて、新聞報道にあったような、妊婦のたらい回し、といった状況になっているのです。 埼玉県内にはハイリスクな出産のうち、母親にも赤ちゃんにも対応できる総合周産期センターは埼玉医科大学の1カ所、それよりもリスクの低い母児に対応できる地域周産期母子医療センターは5カ所、そして赤ちゃんだけのトラブルに対応できるNICUを備えた新生児センターは9カ所、NICUの数は83床ですが、この中には現在診療を休止している春日部市立病院も含まれています。

 この80床ほどで年間6000人近い赤ちゃんを受け入れなければならないというのは、きわめてピンチです。低出生体重児の場合、体重が少なければ少ないほど、そして予定日よりも早く生まれれば生まれるほど、NICUに入っている期間が長くなるからです。入院3花月以上の赤ちゃんがけんないでは28人、1年以上の赤ちゃんも3人いるとのことでした。

 その上、私も以前、低出生体重児や障害をもって生まれた赤ちゃんの取材をしていたのでよく分かるのですが、このような赤ちゃんの治療は24時間体制で取り組まなければならないのです。80ベッドを支えている新生児科医師は、常勤が17人弱、小児科との兼任が10人弱、このような状態では、いつ医師が過労になって、センターの閉鎖につながらないとも言えない、本当に綱渡りの状態といえます。

 そこで埼玉県としては−。NICUを平成21年まで10章増やし、医師不足解消のために小児科・産科医を目指す研修医の確保に努めたり、中核的な病院を開業医が支援する協力体制づくりや、病院の小児科・産科医の負担を軽減するために,正常分娩は助産師が担当できるよう支援体制を整えたりしているとのことです。

 さらに、お産時のリスクを軽減するため、きちんと妊婦健康診査を受けてもらうよう、公費負担の拡大を市町村に依頼するとともに、妊婦に対して原因疾患の治療や生活習慣の改善などの指導を求めていくとのこと。

 低出生体重児が生まれる背景には、多胎妊娠の増加も上げられています。これは不妊治療によることも多く、従来、不妊治療の場合は、成績を上げるために、複数の授精卵を着章させる方法がとられていましたが、現在は授精卵は1個のみを着床させる、というガイドラインができているそうです。

 医学が発達したといっても、昔も今も、お産は命がけであることに変わりはありません。しかし、医療技術の進歩によって、危険性が低くなってきたと同時に、お産に伴うリスクが軽く見られるようになり、かわいい赤ちゃんが誕生するはずだったのに、不幸にも亡くなってしまった、障害が残ったなどの場合は、訴訟につながってしまうことも多いのがお産です。

 国はやっと、無過失保障制度を(きわめて不十分ではありますが)整えるとの報道がありました。しかしそのほかにも、周産期母子医療センターの診療報酬の見直しや医師養成の拡大など、国に求めていくとの説明がありました。

 春日部市でも、市立病院の産科休止によって、双子の赤ちゃんのお産が市内でできない状態が続いています。先日の運営委員会では、あらゆる手段を尽くして医師確保に努力している、とのことでしたが、現在春日部市民のハイリスクのお産を引き受けてくれている近隣の病院が疲弊する前に解決しなければ,大変な状態になります。

 隔靴掻痒、という議会の関わりをどう変えていったらいいのか−。悩みはつきません。
posted by ふくろう at 14:15| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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