2011年05月22日

高齢社会ではなく、「長寿社会」となるためにやらなければならないこと

 昨日は、埼玉県東部地域地方政治改革ネットの総会の後、「高齢社会を見据えた在宅医療・看護・介護等の連携と生き甲斐・就労の創出の取り組みについて」と題する柏市のモデル事業についての講演会がありました。
 お話下さったのは、3月まで柏市の高齢者福祉部長をされていて、乞われて現在、東京大学高齢社会総合研究機構の学術研究支援員をされている木村清一さんです。

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 この事業は、現在、柏市の豊四季台団地を中心とする豊四季台地域で、東京大学高齢社会総合研究機構と柏市、そしてUR都市再生機構の三者で取り組まれているモデル事業なのです。

 事業を進めるにあたって、豊四季台地域高齢社会総合研究会が設けられましたが、その前に、「豊四季台みんなのまちづくり会議」という会議がもたれて、住民参加で計画策定が行われたとのことです。
 最初に、どのような意図でこの計画が策定されるのか、その前提となっている豊四季台地域の高齢化の現状と予測、これからの地域づくりに向けた研究会からの提案などの情報を伝える住民説明会を皮切りに、その都度参加者から意見を聞きながら、3会の説明会を開いたとのこと。毎回100人〜200人の参加があったということですから、地域の方々の関心も高かったことが伺えます。
 その後、まちづくり会議の中で、「在宅医療委員会」、「人と人委員会」、『住まい・移動委員会」の3つのワーキンググループに分け、ときに住民との意見交換会あり、ときに一緒の勉強会ありと、常に市民参加で具体的な計画を練り上げていったとのことでした。

 しかし、この計画が東京大学の機構から提案される以前から、木村さんは現場で施設に入所しているご高齢の方々から、「本当は家に帰りたい」と涙ながらに訴えられることが多い、という体験をしてきました。「世界で2番目に豊かな国、日本で、これまで社会の発展につくされたお年寄りが、住み続けたいと願う地域で暮らし続けることができないのはおかしい」と、介護が必要になっても住み慣れた地域で住み続けられるための施策を考えてこられた方です。

 在宅を可能にするための「医療と介護の連携」、さらにUR豊四季台団地の建て替えに際して住みやすく暮らしやすく移動しやすい住まいとまちづくり、のほか、いつまでもあてにされる・期待される存在であり続けられるための就労を可能にするコミュニティビジネスの3本柱が、この計画にはあります。

 この計画が本当に現実的なものになっている背景には、「在宅で」を求め続けてきた木村さんの現場での経験と、その間につちかった多彩な人脈があります。
 さらに「電球の球を変えてほしい」などのお隣ご近所の支え合いでできることまで行政がタッチし、福祉事業とするのはおかしくないですか? という理念も大切な要素になっています。どんな分野は地域の支え合いなのか、行政が本当にやらなければならないのは何なのか、それをきちんと分けて考えています。
 また、事業は民間で行う、という施政も明確です。

 コミュニティビジネスを展開するオフィスセブンでは、今後7事業を展開する予定になっているとのことですが、その中の一つ学習支援はすでにスタートしています。今各地で展開されている「学習支援」は、低所得の世帯を支えるための無料塾が主軸ですが、柏の「柏っ子アカデミー」は、どんな世帯の子でも参加できるように有料です。しかし、生活が苦しい世帯については、市が援助する、という方式になっているとのこと。
「特別な支援塾にしてはいけない」「排除の姿勢はおかしい」という姿勢が貫かれているのです。

 在宅を可能にするための在宅医療では、これから高齢社会が進んでいくと、現在のように開業医が動かなくても、来院してくれる患者だけを治療すればいい時代ではなくなる。だから今から、往診診療のできる態勢を、と説得力のある働きかけで、医師会を動かしているのです。

 次から次に飛び出す「木村語録」。このように木村さんが理想を掲げて高齢者福祉に尽くす環境をつくってきた柏市はすごい、と思いました。
 そして、当日は春日部市の高齢者福祉課の職員さんも講演を聴きにきてくださいましたが、是非是非、市役所の職員の皆さんにも、「これぞやりがいのある仕事」と目を輝かして仕事ができる役所であってほしいと思いました。

 今まで取り組んできた武里団地の再生事業、木村さんのお話をきちんと受け止めて、武里団地がいつまでも住み続けられる団地となるよう、今まで以上に取り組んでいかなければ、と思いを新たにしました。
posted by ふくろう at 22:57| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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