予算議会を前に、国の平成25年度の地方財政計画についてのレクチャーを受けるのが第一の目的です。
窓口になってくれたのは、本人が言うところの「日本未来の党の一人親方」阿部知子議員です。
左に並んでいるのが、レクチャーして下さった財務省・総務省の担当者の皆さんです。
☆15か月予算!
さて、この時期ではありますが、最初の説明は、平成24年度の補正予算について、でした。
新聞報道にもありますように、平成25年度の予算編成は大幅に遅れており、2月末にまとまる予定。春日部市も2月18日から予算議会である3月議会が始まり、すでに予算案はまとまっている段階ですが、国の地財計画が不透明なままの予算編成では、さぞ苦労したことだろうと推察されます。ことに、歳入のかなり大きな部分を国からの地方交付税に頼っている我が市では−。
そこをつなぐためと、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が1月11日に閣議決定されたことを受けて、一刻も早く地方にこの対策に取り組んでもらうために、年度末にもかかわらず補正予算が組まれたものです。一部は平成25年度の交付税に加算されるため、15か月予算となるわけです。
さて、この「緊急経済対策」、
■復興・防災対策
■成長による富の創出
■暮らしの安心・地域活性化
の3分野にわたります。
先に触れたように、「早期に効果を実現させるためにさまざまな工夫」としての具体策があげられています。
その中の一つが「公共事業等に係る入札公告の前倒しや入札に関する手続きの簡素化などにより、可能な限り早期に執行」とあります。
☆消費税増税を見越して借金?
この緊急経済対策の実施に伴う財政支出は10兆2815億円。これに基礎年金国庫負担を現行の35%から50%に引き上げるための財政支出を加えると13兆1054億円とのこと。
これによって、平成24年度の補正後の予算額は、一般会計ベースで100兆5366億円になるのですが、そのうち公債金が49兆4650億円、年金特例公債金が2兆5842億円というのですから、一般会計ベースの財源の二分の一以上が借金で充てられるということになります。
問題はこの「年金特例公債金」です。財源は消費税増税分、とさらりと説明されました。
「消費税増税は平成26年度からで、しかも経済が上向いた場合、ということでは?」と質問したところ、
「すでに消費税増税の法律は成立しています。今現在財源がないのだから、将来の税収層を見込んで公債を発行することに問題はない」
とのこと。
「経済が上向いたら」というのは表向きで、こうしてすでに、消費税増税は既定の事実なのでしょう。そして批判をかわすために、何が何でも平成26年の4月まで、経済対策にジャブジャブ税金をつぎ込み、最悪でも物価上昇を目論むのでしょう。
これが真の経済対策なのかどうか、厳しい監視の目が今、求められています。
地方に財源がなくても事業に着手できるように、今、地方の復興・防災対策は頭金無しで事業費の100%借金を充てることができるようになっており、その元利償還の70%あるいは80%は後に国が地方交付税に算入しますよ、というものです。
しかし、地方交付税が来年度以降絞られるのは目に見えています。総額が減る中で、借金の返済部分は算入していますよ、といわれても、一般財源に充てられる分が減っていくという覚悟を、今からしていかなければならないように思われます。
平成25年度の予算でもそうでしたが、公共工事だけでなく、真の復興というなら、放射能汚染対策などソフト部分にも使えるようにすべきではないか、という会員からの指摘もありました。そんな地方の声は届かないようです。
「いかに財政規模を小さくして充実させていくのか、質を高めていくのか、国の政策に惑わされず、自治体が知恵を絞っていく時代」と全政策情報センター長で、このあいだまで消費者庁長官を務めていた福嶋浩彦さんです。
お隣は平成25年度の地税計画のチェックポイントを解説してくださった、地方自治総合研究所の菅原敏夫さん。
☆人からコンクリートへ
さて、平成25年度の地方財政のポイントですが、「一般財政総額を平成24年度と同水準を確保しました」と胸張っての説明でしたが−。
いちばん問題になったのは、「地方公務員給与費の臨時特例」として7月から国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提として、給与分の人件費を9000億円減額していることです。
しかも、これと丁度対をなすように、「防災・減災事業、地方の活性化党の緊急課題への対応」として9000億円特別枠として計上されていることです。
地方公務員の給与水準については、条例で定められているため、表向きは各自治体が独自で削減するかどうかを決めることができることになっています。
しかし、一般財源である人件費を削減され、特定財源として公共事業を増額されれば、使い途に工夫の余地はありません。
しかも、「地域の元気づくり事業費」3000億円にいたっては、その算定にあたっては各地方公共団体の人件費削減努力を反映させる、とごていねいな但し書きつきです。
公務員の給料は高すぎるなどの批判はあります。だからといって、交付税の中の一般財源を削減して公共事業のための特定財源に充てるというのは、地方交付税の趣旨からはずれるもの、今後国と地方の関係がこのようになっていくのは看過できない、福嶋さんの適切な指摘に、総務省の担当者の答弁はしどろもどろなものでした。
「あからさまな人からコンクリートへ」という菅原さんの解説がありましたが、このような国の政策に、地方はどう対峙していけるのか−。議会の役割が問われています。
☆地方税にまで手を突っ込むの?
地方交付税の問題点はまだありますが、さらに気になるのが、「住民税の年少扶養控除廃止等による追加増収分等」という項目です。
この年少扶養控除の廃止は、実は「子ども手当」とセットになっていたものです。しかし、子ども手当が実質的に所得制限ありの「児童手当」に逆戻りしたあとも、扶養控除廃止は復活しておらず、地方税はわずかながら増額となっています。
本来であれば、地方税の増収ですから、各自治体の自主財源が増となっているわけです。
それを、この「追加増収分等(使途未定額886億円)については、以下の国庫補助事業の一般財源化に活用」としています。
いわく、
・子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進基金を活用した国庫補助事業費に522億円
・妊婦健康診査支援基金を活用した国庫補助事業に364億円
「なぜ自主財源である住民税の使い途を国が決めるのか」
と質問したところ、
「本来、子ども手当とセットであったことから、子育て支援に充てるのがよいという判断から」
とのこと。仮にそれを善しとしたところで、自主財源であれば、それぞれの自治体が最も力を入れるべき事業費とするべきで、地方が増収になるから、予防接種や妊婦健診の国庫補助はカットしますよ、というのはあんまりです。
総務省の若い担当者は、「厚生労働省の判断」とこれまたしどろもどろでしたが、せめて総務省、地方の立場で予算編成に臨めないものか、これはないものねだりなのでしょうか。
いずれにしても、来年度の予算編成では、春日部市としての姿勢をきちんと質していかなければならないと、思いを新たにしました。
全国各地から集まった40名以上の地方議員が参加しました。



