映画は、映画監督である関口祐加さんが、アルツハイマーを発症した実母を撮り続けた「毎日がアルツハイマー」というドキュメンタリーでした。
正直、私には見ていて辛い映画でした。
関口さんのご母堂は、私が一緒に暮らしていた姑とはちがって、明るいのです。時にいらだったり、不安なそぶりを見せながらも、笑顔を見せてくれます。
私と姑の間には、こんな時間が流れたことはありませんでした。私の接し方が悪かったのか−。
しかし、映画のあとの、「春日部市認知症保健福祉センター」管理者である西田朋史さんのお話で救われました。
認知症は脳のある部分に生じた病気により、認知機能が低下することによって、それまで営んでいた社会生活や日常の暮らしに支障が生じる状態の総称です。アルツハイマーは、その原因の一つであり、脳の神経細胞がゆっくりと破壊されていく変成疾患です。
最初は記憶障害や見当識障害、理解や判断力の障害、実行機能障害などの、いわゆる「中核障害」といわれる症状が起こってくるとのこと。
次に本人の性格や素質、あるいは人的環境などによって、不安や鬱状態、幻覚や妄想、徘徊、暴力、不潔行為といった行動・心理症状が起こってくるそうです。
映画のご母堂は、行動・心理症状には至っていないため、以前は人格障害などとも言われた心理症状が表れていないのでしょう。
「中核症状」の段階で適切なケアや治療を受けることによって、認知症の進行の程度は異なるとのこと。
うちの場合は、初期のころは一人でかかりつけ医から薬をもらって、しかもパーキンソン病の薬を−。飲み続けていたので、異変に気がついて専門医に、「アルツハイマーの場合はパーキンソン病の薬は禁忌」といわれてももうどうしようもない状態でした。
最後に西田さんは、「私たちでも人の名前が出てこないときなど、不安な気持ちになりますね。認知症の人たちは、その連続の中で、途方にくれ、不安と混乱の中で過ごしているのです」と、とても分かりやすいたとえで話してくださいました。
そして、認知症の人たちが失ってしまっている機能はごく一部、決して壊れていない五感、喜怒哀楽、やさしさなどに寄り添い、大多数の残っている機能を引き出してあげるケアを、と結ばれました。
高齢者の1割が認知症とされる中で、少しでも理解し、いつまでも地域で一緒に暮らせる地域を作っていかなければ、と思いました。
関口監督のドキュメンタリーは、下記の動画配信でご覧いただけます。関心のある方はご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=cKXErOjTQ8k