2014年05月11日

障害のある人と一緒に働くということ

 昨日は,越谷市の青年会議所さんの主催で行われたパネルディスカッション「いま障害者雇用を考えるー“共働く”まちづくりに向けて」に参加してきました。

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 会場となった中央市民会館の会議室2室をつなげた部屋は、すでに満席に近い状態でした。やっと前の方の空いている席に案内していただき、その席からの1ショットなので、臨場感が伝わりにくいかも知れませんが−。

 それよりも、日ごろ、障害者の就労問題を考えるさまざまなシンポジウムや学習会とは異なった顔ぶれの方々が多いことをうれしく思いました。 
 青年会議所、という,経営する側の方々の主催であることがそもそも、初めての体験です。改めて感謝、です。

 県立大学の朝日雅也教授の基調講演のあと、障害を持つ方の雇用を実践しているサイゼリアの顧問・井坂昌彦さん、そして「職場参加を進める会」の仲間でもあり、社員のほとんどが障害を持つ方、という経営スタイルを長いこと続けていらっしゃるニューオタ社長の尾谷英一さん、そして今回初めて障害者の実習を引き受けたトップオート社長の星野敦鋭さんからの報告がありました。
 覚え書きメモが頼りなので、正確なまとめではありませんが、お許しください。

 サイゼリアでは13年前から、障害者の方の雇用を進めています。きっかけとなったのは、現在の特別支援学校の先生からの紹介で数人の知的障害のある方10名の実習を受け入れたことだったそうです。
 実習が終わり、翌年から実習生のうち、9名を社員として採用しようとしたところ、一人の若い店長が、一人の女性を不採用にしたことに対して泣いて抗議しました。「あなたはあの子がどれだけ一生懸命実習に取り組んだのか見ていない、何も分かっていない」と。聞けばその方は、店のテーブルと椅子を丁寧に拭くことを一生懸命繰り返し、家で母親に手伝ってもらって練習までしていたとのこと。
 店長の訴えに心動かされた井坂さんは全員採用としましたが、その方は昨年、勤続10年の表彰を受けたとのことです。
 それまで「法定雇用率」という観点から障害のある人の雇用を考えていた井坂さんは、現在211店舗、2工場で200名以上の障害のある方の雇用となるまでの過程の中で、「この事業は障害のある方の人生支援なのだ」と思い至るようになったとのこと。
 会社の経営方針との関係でいうと、創業以来、「『低価格という社会貢献』ということを社是としてきたけれど、障害を持つ人に対して必要なコミュニケーションもとれなくて、なんでお客さんに適切なサービスを提供できるのか、と思うようになり、飲食業を営む上での大事なことを教わったような気がする」という意味のことをおっしゃっていました。

 ニューオタニの尾谷さんが障害のある方を受け入れたきっかけは、制度を活用して、非常に有利な条件で春日部市の豊野工業団地に工場を開設できたことだったそうです。自分が制度の恩恵を受けたことを、何らかの形で恩返ししたい、という思いから引き受けたのですが−。
 ニューオタニは、どなたも名前を知っている、靴の有名メーカーの靴底をつくっている会社です。それだけに、できた製品の品質は厳しくチェックされます。最初のころは障害を持つ方の手による製品は「おしゃか」ばかり。しかし、一人前の職人にしなければこの人たちは社会で生きていけない、と厳しい指導を続けました。
 バブル崩壊後の不景気の中で、同業者は次々と倒産していく中、尾谷さんは、昨日のお話では触れませんでしたが、身内の社員の給料はほとんど払えない状況の中でも障害のある方は一人も解雇せず、あらゆる努力をして工場も社員も守ってきました。
 今振り返ってみると、障害を持つ人のペースに合わせて、細々と続けてきたことが実は会社を守ることにつながってきた、「助けるつもりが助けられた」、とても重い、尾谷さんの言葉でした。

 初めて障害者の実習生を受け入れた星野さんは、これまで障害者の「法定雇用」という言葉すら知らなかったといいます。しかし、実習生のひたむきな仕事ぶりから教わることも多かったとのこと。これからきっと、障害を持つ人と「共に働く」ということを模索してくださるのではないかと思いました。

 青年会議所は、会社の経営だけでなく、社会貢献ということにも力を入れている団体と伺っています。このパネルティスカッションを通して、若い経営者の皆さんが、企業とは、経営とはということについて、今までとは違った角度から考えてくださるようになったのではないかと、ひそかに期待しています。
 人口が減少する時代を迎えた今、働き方もまた多様になろうとしているのですから−。
posted by ふくろう at 10:33| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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