今回のテーマは、「市民自治で未来を拓く」です。
今回は基調講演ではなく、前我孫子市長であり、消費者庁長官も務めた福嶋浩彦さんと、いずれも若手改革派市長と目される、千葉市の熊谷俊人市長、尼崎市の稲村和美市長のお三方による鼎談、「新たな地域づくりと市民合意」からスタートしました。
私は受付を手伝いながらでじっくり聞けなかったのが残念でしたが、ざっくりしたまとめとしてー。
千葉市長の熊谷俊人さんは、ICTも活用しながら市民主体の町づくりを進め、市民自治の実現を目指しています。その一例が市民の力を発揮できる「ちばレポシステム」で、地域の公共施設や公園・道路で補修の必要が個所があることに気付いた住民が、スマートフォンでその場で写真撮影をし、GPSを使って役所に送信します。受信した役所はすぐに位置を確認し、対応をとることができるシステムです。
今までは、自治会が要望書を役所に出して、役所が現場に出かけて状況確認をしていたものが、情報のやり取りだけで確認できるとともに、これまでは要望を出したり、通常した住民を担当者とのやりとりだった、いわばクローズされた地域課題をオープンにすることができます。
こうして、既得権益をはびこらせることの弊害が、ITを使ったシステムを駆使することで取り除くことができ、若い人たちが、このような形で参加できることは、納税者としての自覚や地域への関心を高めていくことにもなるというシステムです。
とくに、こうした地域課題は、議員がかかわることで優先的に解決につながる、とまだまだ住民に思いこまれている誤解も払拭され(もし、口聞きが行われているとしたらそれも不可能になり)、地域の課題については、個別の課題から全市的にそのような課題を解決する道筋を提案していく、というのが議員本来の仕事というまっとうな認識に立てるとの指摘は納得です。
これはほんの小さな例で、千葉市は、役所の保有する情報のほとんどをオープンデータとして公表する取組も進めています。
情報の共有と決定プロセスの公開は、市民自治の基本中の基本なのです。
尼崎市の稲村市長は、とにかくとことん市民との対話を重ねることから施策の方向性を決定してきました。様々な問題解決のため、あるいは新しい施策の賛否を問うため、場所、時間、参加するメンバーを変えての車座集会、対話集会、ワークショップ。
これからの行政運営は、何を諦め、何を維持していくのか、選択と集中をきちんと見極めていかなければなりません。
「これをやると何を失って、これを我慢すると何ができるのか、そういう選択肢を情報を公開しながら示した上で、市民と対話をし、市民合意を得ていくことが不可欠です。
例えば、中学でも学校給食を実施してほしいという要望は大きい一方で、教室にクーラーを設置してほしいという声を大きい、これについては「学びやすい学校の環境づくり」という大きなテーマの中で、今までの取組をふりかえりつつ、空調を整備するための財政負担と、中学まで給食を実施したときの財政負担、さらに学校教育における効果について、保護者だけではなく、実際に子どもたちとも対話や意見交換を重ねて計画を進めているとのこと。
千葉市の場合、子どもの医療費の無料化の年齢拡大についても、何歳まで無料にしたらどのくらいの財源が必要になって、そのためには何を犠牲にしなければならないのか、あるいは一部負担金を設定することによって対象年齢を拡大したほうがいいのかどうかなど、市民が判断できる情報提供をし、選択肢を示していくことによって、市民対役所だけでなく、市民間でも議論を進められるようにしてきたとのことです。
それによって、お互いに生活者として本当に質の高い地域社会を目指していくために、市民合意を図っていかなければならない、という覚悟が市民の側に育っていくのです。
福嶋さんが提唱されている「市民一人一人から出発すること」、それは自分たちの居場所を自分たちが参画して議論し、交渉することで、自分たちが確保していくことにつながる、その実践をお二人の市長から示してもらったように思います。
会場にはこのように大勢の議員や市民の参加がありました。最終的には、スタッフも含め250人の参加があったとのことです。
分科会の報告はのちほどまとめたいと思います。



