8日の分科会は「未来にツケを回さない公共施設再生」に参加しました。パネリストは、構想日本総括ディレクターの伊藤伸さん、東洋大学PPP研究センターリサーチパートナーで現在習志野市に出向している岡田直晃さんと、すでに2011年に公共施設白書をまとめた取手市議の結城繁さんでした。
事業仕分けでおなじみの構想日本ですが、最近は「施設仕分け」に取り組む自治体が増えて来て、それらの自治体の指南役を務める中で、各地の事例を把握しているようです。
人口が増え、景気がどんどん上向く中で公共施設が次々に整備されていった1980年から90年代。気がつくと人口は減少し始め、景気も後退して自治体も国も財政的に厳しい状況になってきました。
2010年の公共投資と同額の財源を確保したとして、2035年には既存の施設の維持補修が精一杯で、新規施設への投資はほぼゼロになる見込みが示されています。
国も自治体のこのような実態から、「公共施設等総合管理計画」を策定した場合、計画策定費の50%、既存の施設の取り壊しに関する地方債を発行した場合はその元利償還の75%を交付税措置するという指針をまとめたとのこと。
しかし伊藤さんは、国がこのような指針を示したから自治体が計画をまとめるのは筋違い、あくまでも自治体自身が自分のまちの実情に沿った計画を策定すべき、と指摘し、それには納得です。
取手市では高齢化率が30%を超え、さらに「つくばエクスプレス」の開通によって取手駅の乗降客が半減しはじめたころから、東京ドーム5.5個分あり、維持更新コストに毎年38億円近くを要する公共施設をどうするのか、市民の財産として共に考えるための目に見える資料として、財政白書をまとめたとのことでした。
習志野市の場合は、現況の公共施設を更新するとしたら毎年37億円かかるけれども、現実には公共施設に対する投資額は15億円程度、つまり40%の施設しか更新できないという実態が明らかになってきました。
ところが公共施設の中で教育施設が約60%を占めているという現実の中で、教育施設さえも、全部を更新はできないことになり、そこで施設白書は従来の各施設の延べ床面積や建設年度などの施設カルテといったものではなく、実際にどのような人たちにどのくらい利用されているのか、施設の維持・管理費はいくらかかっているのか、といった実態も含めた施設シートとしてまとめて、施設のもつ機能と事業内容の評価を同時に行っていったとのことです。
こうなると、住民の理解を得るために、徹底した住民参加で方向性を決めていかなければなりません。
住民参加問題なのは、公共施設は減らしていかなければならない、という総論に理解は得られても、具体的にどの施設をどのようにするのか、という各論になると、利害関係がからんで反対の声があがったりすること、です。
そこで習志野市では「公共施設再生基本条例」を制定したとのこと。
子どもたちや窓の世代に負担を先送りせずに、よりよい試算を引き継いでいくために、
1.目的 公共サービスは継続的に提供していくこと
2.目標 公共施設は適正に維持されること
3.手段 財源確保、総量圧縮、長寿命化
この3つの段階をきちんと踏まえ、単なる「統廃合」やコストカットだけでない公共施設再生に取り組もうとしています。
取手市でもそうですが、とにかく徹底した住民の合意形成が必要であり、そのためには、従来の行政対住民という構図ではなく、これから自分たちの生活がどうなるのか、そのためにはどういった街づくりが必要なのかといったことを共に考えていける土壌をつくっていく努力をしていることが分かりました。
そのためのポイントは、住民の中の当事者意識をいかに掘り起こしていくか、ということにあるようです。
春日部市では、職員が自分たちの手で「公共施設白書」をまとめてきました。その中で、施設カルテだけでなく、施設シートにも踏み込んでいたはずです。職員の皆さんが公共施設の実態を把握できた、ということは時間がかかった分、大きな財産になっているようですが、これからどう住民と情報を共有し、当事者意識を掘り起こしていくか、正念場にさしかかっていくように思います。



