一昨日の夜は、月1回のRJ(実践的対話)実践研究会の定例会でした。トーキングサークルの練習は、会を重ねる毎に課題が見えてきて、奧が深いことを感じています。
11月は12日の水曜日、春日部市市民活動センター「ぽぽら春日部」で行われますので、関心のある方は是非、ご参加ください。
昨日は、埼玉県庁に、標記の「チームぴかぴか」について視察研修のため伺いました。
この取組について聞いたとき、「教育局が?」と疑問に思ったものです。お役所で障害者の雇用促進のための実習などを取り組んでいるケースの多くは、障害者雇用に関わる知事部局や市長部局が主体となっているのに、なぜ教育局が?
説明を伺って、なるほど、納得です。
県内の特別支援学校はすべて県立です。その高等部の生徒が卒業する際、約4割は一般就労を希望するとのこと。しかし現実には、そのうちの約74%(平成25年度卒業生の実績)しか一般就労を実現していないのです。
一般就労できる卒業生をふやしたい、というのがねらいの一つです。
この事業のもう一つの特徴は、実習などではなく、非常勤職員として雇用しているということです。
それについては、県の教育局の障害者雇用率が1.76%で法定雇用率に届いていないので、その解消にもつながるとのねらいもあったというのが本音とのことですが、非常勤職員としての採用であるため、月に7万4880円の給料が得られるというのは、働く意欲につながり、就労へのモチベーションも高まるはずです。
現在はモデル事業として、一般就労を目指して「働きながら学ぶ」という仕組みづくりを試みています。
特別支援学校高等部の卒業生12名を直接雇用して、チームを編成しています。その一方で、雇用の職域拡大や雇用モデルの提案なども企業に行っているとのことです。
実際に作業の様子を見せていただきました。
名刺をパソコンに入力してデータにする作業は、住所や名前などの普通よりもむずかしい漢字の理解が必要ですが、学校時代からパソコンに触れているというだけあって、確実に入力しているようでした。
宛名のシール貼りもていねいに曲がらないよう行っています。
コピーに裏紙を利用するため、不要になった面に印をつけ、印刷できる面を揃える作業です。省資源化に一役かっている仕事です。
廃棄する書類をシュレッダーにかけるのは、もっぱら彼の担当とのこと。書類からホチキスやクリップをはずすところから手がけていますが、徐々に作業のスピードが速くなっているそうです。
きれいに紙が折れるように工夫された小道具を使って、紙折りをしています。
いくつかの折りの工程を経て、できたのは爪楊枝入れです。「チームぴかぴか」のシールも貼って、来訪者へのお土産や、県庁の食堂で提供されているとのこと。
9時からの始業前の朝礼で、5か条の約束や基本的な挨拶について確認し、本人が自分の目標を書き出します。1日の作業の流れについては、朝礼時に指導員から指示するのではなく、自分で確認して作業につくようにしているとのことでした。
支援としては臨床心理士や作業療法士などの専門家の連携もあり、また、県内の一般企業が障害者雇用のために設けている特例子会社との連携もあり、民間企業でのスキルアップ研修も行っているとのことです。
すでに今年度は、12名のうち4名が一般就労に移行しているそうです。
難点は、浦和まで通いきれる卒業生ではないとむずかしいことです。この研究事業を通じて蓄積したノウハウやポイントを「就労支援プログラム」としてとりまとめ、迎える企業側だけではなく、各特別支援学校への情報提供をする予定とのことです。それぞれの特別支援学校の所在地の自治体でこの取組みが拡がれば、もっともっと、一般就労を果たせる障害者が増えることだろうと思いました。
それと共に、教育委員会だけでなく、各自治体の就労支援センターや生活支援センターなどと連携することによって、地域の学校を卒業した障害者にも一般就労の機会が広がるように思います。
障害を持つ人と共に働くことによって互いの理解を深め、真の共生社会を実現したいという理念こそ、この事業の柱だと思いました。
ところで、記事の中ほどの「約4割は一般就労を誹謗する」は、「を希望する」でしょうか。