行動に先立って開かれた、東京新聞論説委員であり編集委員でもある半田滋氏の「集団的自衛権のトリック」という講演には、参議院会館の行動を埋め尽くすほどの参加がありました。
半田さんのお話を聞いて、今まで指摘されてきた「集団的自衛権容認」の問題点が、改めて自分の中で良く整理されたと思います。
一番怖いと思ったのは、「改憲」を自らの重要な政治課題としている節のある阿倍首相が、憲法改正に手がつけられないのは、憲法96条に、各議院の総議員の3分の2以上の賛成がなければ国会で改正の発議ができないのが原因、として96条の改正を目論んだものの、さすがに与党の合意は得られず、次の一手として憲法解釈を変えて「集団的自衛権の行使」を可能にするとしてきたことです。
すべての上位法であり、しかも、政府や政治家といった権力をもつものが守らなければならない法である憲法を、一内閣によって解釈をねじ曲げていいはずがありません。これに対して、法律のプロ集団である日本弁護士連盟も憲法違反であると声明を発表しています。
社会科で公民を習った中学生以上の人であればだれにでも分かるこの欺瞞を、素知らぬ顔をして押し通そうとする首相・閣僚に、これ以上私たち国民の将来を委ねてはいくことはできません。
集団的自衛権の行使容認については、いわば閣議決定に過ぎず、これに効力を与えるのは、自衛隊法をはじめとする15本にも及ぶ関連法の改正が必要であり、これは国会の審議と賛否を問わなくては不可能です。
しかしながら、「日米安全保障条約」に基づく具体的な行動指針である「日米ガイドライン」については、集団的自衛権の行使を前提に、現在改訂についての日米の協議が進められています。
つまり、来年以降に国会で自衛隊法などの改正が議論されても、「日米ガイドライン」にすでに謳われてしまっては、「反対しても無意味」ということになりかねないという半田氏の指摘に、改めて姑息な政府のやり方に怒りを覚えました。
有権者がその政策を選択し、支持志手選んだ国会議員の議論よりも前にまず、米国との協議、ということになったら、何のために国会はあるのでしょう。首相自身がそうして国民に選ばれた国会議員の一人であるというのに。
ここまで日本の秩序を破壊してしまう政治行動には、NOの声をあげていくしかないでしょう。
6時半からの「総がかり国会包囲」行動には、全国から続々と抗議の人々が詰めかけました。報道によると7000人の参加があったとか。
国会包囲といっても、国会に面した歩道は規制がかかっているため、1周外側の歩道に並ぶしかありません。議員会館前、官邸前を通って、そこから財務省前の信号を曲がって国会正面にいくまで、「戦争できる国にするな」の声を上げる人々の列がありました。
抗議の声の前に浮かぶ,国会議事堂。
道路を挟んだ向かい側にも人々の列が。
この抗議の声も、250万筆に及ぼうという署名の数も、またしても無視するというのでしょうか。