昨日は、臨時議会がありました。
議案は二つ。
一つは、南桜井駅南口の、借地に設置していた駐輪場(公式には自転車駐車場というのだけれどー)が、地主さんからの土地の返還を求められ、閉鎖することになったのにともない、駅の西側の線路沿いに、仮の駐輪場を設置することに伴っての条例改正案。
もう一つは、現在年額6000円の駐輪場使用料が、仮の西側駐輪場では4000円となるため、使用料還付金と仮の駐輪場の整備費を計上するための補正予算案。
この補正予算案には、もう一つ、庁舎改修事業のための調査委託料1365万円も計上されています。
昨年の大震災を受けて、市役所の耐震調査と補強工事の概算の見積もりはもう終わっているはずなのにー。とお思いの方もいらっしゃることでしょう。
そうです。昨年度に662万円かけて行われた耐震診断では、庁舎については大規模な耐震補強工事が必要という診断結果がでて、しかも三つの補強工事の工法を検討した結果、市役所としての機能が維持できるIs値0.9まで引き上げるためには、鉄骨ブレースによる補強+免震工事が必要ということで、これに工事後15年間ほどの長寿命化を図るための大規模改修工事とあわせて約58億円という結果が示されました。
加えて、工事期間は市役所はそっくりどこかへ移転しなければならず、その移転と公示後の引っ越しを合わせると20億円くらいはかかるのではないか、という見込みも示されています。
15年間で78億円。だったら移転新築も視野に入るのではないか−。
これについては庁内に検討委員会が設置されて検討が進められていたのですが、今回提案されたのは、もう一つの工法を検討することになった! ためです。
春日部市役所と似た構造の荒川区役所が、移転せずに免震工事を行うことができるレトロフィット免震という工法を採用したとのこと。しかも何と、施工している大成建設が、我が春日部市役所建築にも携わっていたということから、今回、春日部市役所でこの工法による補強工事が可能か、可能であればどのくらいの工事費がかかるのか、ということを検討するための調査を委託したいとのこと。
もちろん、現在ある庁舎を活用できればそれにこしたことはありません。レトロフィット免震で、昨年度の調査で見込まれた工事費よりもかなり安くできるということになるといいな、とは思います。
しかし、荒川区役所が春日部市役所と似た構造だといっても、実は免震工事を行うときに決定的な違いがあります。
荒川区役所は、区役所の建物の地下1階が上層部の床面積と同じである基礎免震を施す際の掘削が楽であるのに比べ、春日部市では地下1階は食堂と売店部分だけとなっているため、掘削にどのくらいの費用がかかるのか、これがポイントの1です。
さらに、引っ越さずに(これを「居ながら工法」というのだそうです)工事をするため、配管を取り替えた利などの長寿命化工事はどのように行うのか、という問題も生じてきます。
このような懸念がある中、全ては1000万円かけて調査した結果を見ないとなんとも言えない、というのはどうでしょう。
他の自治体では、大手の建設会社等で、耐震補強工事や免震に関わる仕事に携わっている市民の協力を得て検討し、最も有利な工法を採用しているところもあります。
人口25万人弱で、都心まで1時間圏内の春日部市、きっとこういった専門的知識をお持ちの市民の方がいらっしゃるにちがいありません。
庁内検討委員会にこういった専門的な知識のある市民を交えて検討し、少なくともレトロフィット免震工法は検討する価値あり、としてから調査を委託してはどうでしょうか。
委員会では、こういった観点で質疑したのですが、「調査してみないと検討できない」との一点張りでした。市役所の感覚では1000万円(昨年度の診断・調査も加えると1600万円以上)も必要な経費、で済まされるのでしょうか。
もう一つの疑問は併行して行われる、移転・建て換えとなる場合の移転候補地の調査委託費365万円です。
え、レトロフィット免震で補強工事が大丈夫だったら、移転は必要ないのでは?
だったら、今回の調査の結果が出る半年後まで、移転先の調査は待ってもいいのでは?
どうでしょう。この素朴な疑問は間違っているでしょうか。
質疑に対する答弁は、「市民の皆さんの暮らしを守るために、一刻も早く安心・安全な庁舎にするために、移転先も併行して調査する」というものでした。
ところで、今回調査するのは、建て換えが決まった市立病院の跡地です。
「ということは、移転することになった場合、市民の皆さんからの意見を伺って移転先を決めたい、と言っているのに、もう市立病院の跡地を候補地とする、と言っているようなものではありませんか?」
との質疑に、
「そんなことはありません。あらゆる角度から検討していくつもりで、あくまでも病院跡地は候補地の一つです」
だったらですよ。新病院完成は早くても平成27年度なのですから、免震工法の結果が出る半年後から調査を開始しても、なんら問題はないのでは? 他の候補地で、すぐに建設にとりかかれる土地の調査もする必要があるのでは?
「病院については、東棟は新建築基準後の建物なのでまだ利用できるため、病棟としての建物を事務棟として利用することができるかどうかの調査も合わせて行います。この調査は、既存の建物の活用のためには必要なので、庁舎が病院跡地に移転しない場合でも結果は役に立つため、ムダになるとは考えておりません」
といった内容の答弁がありましたが−。
だったら、庁舎の耐震工事と別個で調査費目を立てるべきでしょう。紛らわしい。誰が考えても、「庁舎改修事業の中に「調査委託料」が含まれているのですから、「移転先は病院跡地?」と思っても不思議はありません。
一連の質疑・答弁の中から、どうしてもさまざまな角度から検討し、少しでも経費をむだに使わずに事業を遂行しようという姿勢が感じられなかったのは、私が疑い深いせいでしょうか?
しかし、こんな計画で、もし民間企業だったら経費が認められるのか? だれが考えても答えは同じだ、という気がするのです。
質疑していた総務委員会の部屋が、議員席も含め、「水掛け論はやめろ」的な雰囲気に包まれ、同じ答弁しか得られないため打ち切りましたが、365万円であっても税金、有効に使ってほしいと思うのですが−。