今日は、これで4つめの書き込みです。
いつもは、討論内容などは、webに掲載していたのですが、webを作成しているアプリケーションのネット環境が乱れているため、今議会の分はブログで紹介します。前の3本の記事もお読みください。
公明党が提出した「子宮頸がん撲滅のための施策を求める意見書」は、今回は、
1 平成21年度補正予算で実施している無料クーポン券による検診を来年度以降も継続実施すること。
2 HPV予防ワクチン(注:子宮頸がんはほとんどがヒトパピローマウイルスの感染によることが分かってきたため、近年その予防のために開発されたワクチン)の接種について公費助成制度を創設すること。
3 がん撲滅の啓発のために、100月の乳がん撲滅月間に続けて、11月を子宮がん撲滅月間にすること。
の3点を求める内容になっていました。
気になったのは、2のHPV予防ワクチンの接種の公費助成の必要性を訴えるために、「100%予防でき、100%早期発見で直すことができる子宮頸がん」
という記述があることです。
次の4点質疑し、答弁は。
@100%予防でき、100早期発見で治すことができる、とされています。
子宮頸がんを引き起こす可能性のあるウイルスには15種以上はあるとされているが、現在開発されている予防ワクチンは、そのうち16型、18型の2種類のウイルスを予防するもの。この二つの型のウイルス感染による子宮頸がんが60〜70%ではないか、とされているが、100%予防できる、としている根拠は?
・答弁は検診との組み合わせで100%予防は可能ということ、というものでしたが、残念ながらこの2つを組み合わせても、100%の予防が不可能であるはずです。
AHPVウイルスには、多くの女性が感染(70〜80%)するものの、そのうちの一部が持続感染状態となり、さらにその中のごく一部が、前がん病変を起こすとされている。HPV予防ワクチンは感染する前に投与しなければならないが、では一体、何歳頃の接種が望ましいと考えているか。・10歳から14歳の間が望ましいとされているとの答弁。
B当然ながらワクチンの有効性には限りがあるので、追加接種が必要となると思うがそれについても公費助成を求めているのか。さらに有効性の持続期間はどのくらいか。・有効性は10〜20年とされている、との答弁でした。
しかし、ワクチンの開発をしたグラクソ・スミスクライン社の情報サイトには、
「ワクチンの効果がどのくらい続くのか、追加接種が必要かどうかについてははっきりとわかっていません。今のところワクチンを3回接種した人では、最長で6.4年間は、HPVの感染を防ぐのに十分な量の抗体ができていることが分かっています」
と明記してあります。
また、国際的研究者チームの発表によれば、2000年からのワクチン接種後の追跡調査では、ワクチン接種によって抗体が持続するのは4〜5年とのことです。
大体、開発されてからまだ10年もたっていないワクチンの有効性の持続が20年もあるといえようはずがありません。
Cワクチンで予防できるのは60〜70%であることと、また当然ながらワクチンの有効性が保たれるのは一定期間であることから、子宮頸がんの確実な予防のためには一年に一回検診を受けること、というのが共通見解になっている。
であるなら、子宮頸がん撲滅のための施策をもとめるのなら、ワクチン接種に公費負担を求めるより、20歳以降の女性が毎年検診を受けることを奨励する施策の拡充すべきではないかと考えるが、その点についてはいかがお考えか。 つまり、ワクチンを接種しても、予防のための1年1回の検診が不可欠であるなら、わざわざワクチンを接種しなくても、きちんと検診を受けていればよいことになります。
むしろ怖いと思うのは、ワクチンを受けておけば予防できる、と安心して、検診を受けないケースが出てきはしないか、ということです。
もちろん、検診が100%、早期発見につながるわけではないので、ワクチンを接種しておけばリスクは低くなる可能性はありますが、ではそれを公的に助成することが必要かどうかが判断の分かれ目になります。
現在、厚生労働省が認可したワクチンは、1期3回の接種が必要で、約4万円程度、といわれています。
14歳の女子全員にワクチンを接種し、全額公費助成するとしたら240億円かかります。半額助成となったら、経済的に厳しい人は受けられなくなります。
さらに、有効性が持続する期間が4年となったら、ワクチンが予防できるのは感染前ですから、4年ごとの追加接種にも助成するのかどうかー。だとしたら天文学的な金額になりそうです。
公費で負担するなら、現在、1割にも満たない検診の受診率、これをもっと引き揚げることができる施策のために、さいた方が有効ではないでしょうか。
私はそう思いますが、私以外の他の議員は全員、この意見書に賛成しました。
子宮頸がんは、現在、20台や30代の若い層にふえています。他のがん同様、自覚症状がないため、気がついたときには手遅れとなって命が奪われたり、そこまでいかなくても子宮に転移した場合は子宮を摘出せざるをえなくなり、妊娠・出産が望めなくなります。とくに若いお嬢さんたちには、どうか検診を受けて、と祈るような気持ちです。
posted by ふくろう at 15:04| 埼玉 ☀|
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議会報告「風のたより」
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